【最終更新日】2020/01/12
この記事では原状回復の注意点について解説しています。特に賃貸マンションから退去する際に問題となるのが「トイレリフォーム部分の原状回復」です。その注意点について考えてみます。
古い賃貸マンションに住んでいる場合、現在使用しているお部屋のトイレ便座を『ウォシュレット』に交換することは、基本的には問題ありません。便座をもとに戻すのは比較的簡単ですからね。
賃貸契約における「退去時の原状復帰」を理解し、元の設備を保管しておけばいい訳です。
ただしそれ以上のトイレリフォーム(改装)に関しては「オーナーとの相談」次第となります。
簡単に賃貸マンションのトイレリフォームについて、主なチェックポイントをまとめると以下の通りです。
- 便器一式の交換工事費用は約3~4万円
- コンセント設置費用は約1~2万円
- 便器に接続されている排水芯の確認が必要
最近の傾向として公団団地住宅については、リフォーム自体が基本OKの物件も増えています。
いずれにせよ、賃貸物件のリフォームに関しては「原状復帰」とのバランスが全てですね。
以下、本文にて詳しくご説明していきます。
【トイレリフォーム】賃貸マンションはオーナー次第! 『原状復帰』の注意点を解説する
賃貸マンションのトイレはリフォーム出来るのか?
分譲なら全く問題ない「マンションのトイレリフォーム」ですが、果たして賃貸だとどうなのでしょう? 賃貸マンションのトイレはリフォームしていいものなのでしょうか?
ウォシュレットの取り付けは”基本的には”問題ない
賃貸マンションのトイレリフォームの中で最も多い希望が、トイレに『ウォシュレット』便座を取り付けたいというものです。
結論から言うと、賃貸マンションのトイレに『ウォシュレット』を取り付ける行為については、通常は何の問題もありません。
ただし、後の項目で詳しく説明しますが、もし、あなたのお住まいのマンションが、かなり築年数の経った古いマンションでコンセントが無かったり、トイレの給水管が古く錆びていたりした場合は、やはりオーナーや不動産屋さんに相談した方が無難です。
しかし、そのような問題が無い場合は、”ぶっちゃけ”て言えば勝手に取り換えてしまっても、極端な問題は発生しないと思います。
オーナーの「許可」と「原状復帰」の関係性
本来、原則的には賃貸マンションの設備を勝手に交換してはいけません。賃貸契約上でも「オーナーの許可を取らなければいけない」と記載されているはずです。
しかし、例えばあなたが住む賃貸マンションに、オーナーが置いていったカーテンが取り付けてあったとします。そのカーテンを交換することをオーナーは禁止するでしょうか? また、古いガスレンジがあったとして、それを新しいものに替えることは?
オーナーが禁じているのは「マンション室内の設備を棄損すること」です。取り外し可能な設備でしたら、それを自分の好みのものに取り替えることは、ほとんどの場合オーナーは許可しますし、そもそも仲介に入っている不動産屋さんがオーナーとの便宜を図ってくれるはずです。
問題は退去時に発生する「原状復帰」義務です。
賃貸契約終了に伴う退去時の「原状復帰」義務には、以下の2つの意味があります。
- 賃貸契約開始時そのままの状態で退去する
- 経年劣化等の不可抗力以外の理由で室内に何らかの棄損・破損があった場合、それを修復した上で退去する。もしくは修繕費をオーナーに支払う
例えばあなたが賃貸マンションのトイレの便座を『ウォシュレット』に変えたとします。その場合、元々トイレに取り付けてあった便座は、あなたが退去時まで保管しておく必要があります。
その上で、退去時には元の便座に取り付けし直す義務があるということです。
もし誤って破損したり廃棄してしまった場合は、退去時にオーナーに弁償する義務が発生します。
かたや、もしあなたが、取り付けた『ウォシュレット』便座は退去時にそのまま置いて行っても構わないと考えていたらどうでしょうか?
おそらくオーナーは「それなら元の便座は捨ててしまって構わない」と言うのではないでしょうか?
また、『ウォシュレット』取り付けのために電源工事が必要だとしても、比較的あっさり許可してくれるはずです。
オーナーからすれば、居住者の負担で新しい設備に変えてくれると言うのですから、歓迎こそすれど積極的に断る理由がありません。
以上のように賃貸マンションの設備交換に関する「オーナー許可」と「原状復帰」の関係は、その時の状況によって変化するのが実情です。
賃貸マンションのトイレリフォームの注意点!
ここからは賃貸マンションのトイレをリフォームする際の注意点をご説明いたします。
便器交換工事の費用相場は?
賃貸マンションの場合、よほどのレアケースを除けば、そのほとんどが「水洗洋式トイレ」のはずです。
ですから、便器交換の費用は通常3~4万円ほどになります。
仮にコンセントの増設工事が必要な場合でも、概ね1~2万円内で出来ます。
排水芯の位置確認は忘れずに!
マンションに設置されている洋式水洗トイレの場合、『床排水』と『壁排水』の2種類の排水管が備え付けられています。
ほとんどの場合、排水管が床に設置されている『床排水』タイプですが、築年数の古いタイプ等の一部マンションでは排水管が外壁に沿って設置されている『壁排水』タイプの場合があります。
マンショントイレをリフォームする場合は、現在設置されている便器の排水方式と同タイプの便器を選ぶ必要があります。
また「排水管の位置」である『排水芯』ですが、1995年以降に建てられたマンションは現在の統一規格となっていますが、それ以前に建てられたマンション等の場合、排水芯の位置が違う場合があります。
統一規格 | 規格外 | |
---|---|---|
床排水 | 200mm | 200mm 以外 |
壁排水 | 120mm | 155mm |
床排水「200mm以外」の場合は、排水アジャスターが取り付け可能となっている各メーカーのリフォーム対応モデルの便器を。壁排水「155mm」の場合は「排水芯155mmタイプ」の便器を選ばなければなりません。
排水芯の位置確認に関しては、実際に寸法を測って確認することも出来ますが、基本的には便器の側面下側に表示されている「便器品番」を確認するのが最も確実な方法です。
「居住予定」と「置いていくモノ」の価格バランス
「原状復帰」の項目で、「もし『ウォシュレット』を退去時に置いていくのなら……」とお話しました。
もしあなたが5~10年は引っ越しする予定がなければ、そういう選択もあるのではないかと思います。
しかし、予定はあくまでも予定であって、予期せぬ事情により、それよりも早く引っ越しを余儀なくされることもあり得ますよね?
それでもウォシュレットくらいならば、マンションに置いていくことも諦めがつくかもしれませんが、もし高額な最新式便器に交換していたらどうでしょうか?
もちろん元の便器を一式保管していれば、再度交換ということも出来ますが、便器一式を保管しておくということは、それほど現実的とは言えません。
賃貸マンションのリフォームをする場合は、自分が「あとどのくらいこのマンションに住むのか?」という「居住予定」と、取り外した設備の長期保管が困難なために「マンションに置いていかざるを得ない」交換設備の「価格」のバランスを考えた上で決めた方がよいと思います。
公団団地のトイレリフォームについて
同じ賃貸物件でも「公団団地」のトイレをリフォームする場合はどうなのでしょうか?
賃貸マンションとの違いをご説明します。
「リフォームOK」が急増中!
日本住宅公団が開発供給し、現在はUR都市機構が管理する、いわゆる『公団団地住宅』ですが、近年は老朽化に伴う住民の減少傾向に歯止めをかけるため、「DIY」や「リフォーム」を許可する物件が急増しています。
元々、仲介手数料・礼金・更新料等が無料の上、家賃も比較的格安なのが公団団地のメリットですから、近年は自らの好みの「リフォーム」住宅に住むことを目的として、敢えて初期費用が少なく済む公団団地を選んでいる人も少なくないそうです。
ですから、賃貸マンションの項目でご説明したように、長期間の居住予定が確実であるならば、トイレに限らず様々なリフォームが可能である、古い公団団地を選ぶというのも”アリ”なのではないでしょうか?
また、現在団地にお住まいの場合は、一度、管理会社に確認してみてもいいと思います。
トイレにコンセントが無い場合の対処方法
公団団地を筆頭に、築年数の経った古い賃貸物件の場合、トイレ内にコンセントが設置されていないケースがあります。
そういった場合、ウォシュレットだけでなく最新型便器を設置するには、新たにコンセントを設置しなければなりませんが、その費用は通常1~2万円の範囲内です。
「ウォシュレットを付けたいだけだから……」となるべく工事等は避けたいという場合には、トイレの天井照明から電源を取る方法があります。
電球をさすソケット部に設置するソケット+コンセントのアダプターの利用です。
家電量販店やホームセンターなどで販売しているはずですので、そのアダプターを天井ソケットにさし、電球を設置した上でコンセント部から延長コードを這わせればOKです。
ただし、トイレの証明スイッチをOFFにすると、ウォシュレットの温水が冷えてしまいますので、この方法を利用する場合は人感センサー型のLED電球を利用し、照明スイッチは常時ON状態にするのがよいと思います。
まとめ
今回は賃貸マンションのトイレリフォームに関してその注意点を解説しました。
トイレのリフォームを考えるということは、お住まいの賃貸マンションの築年数はそれなりに古いはずです。
それゆえに「原状復帰」が可能な範囲であることに加え、オーナーに不利益にはならないリフォームに関しては、オーナーも比較的寛容なはずですし、不動産屋さんもオーナーに積極的に頼んでくれると思います。
ただし、トイレに関して言えば、ウォシュレット便座くらいは問題ありませんが、それ以外の「便器」・「壁紙」・「床」・「ペーパーホルダー」などは、基本的には退去時に部屋に置いていく覚悟が必要です。
以下に、改めて今回の情報をまとめます。
- ウォシュレット便座の取り付けは問題なく出来るが、元の便座を保管しておかなければならない。
- 便器一式の交換費用は3~4万円必要。
- 電源コンセントの増設費用は1~2万円。天井照明から電源をとる方法もあり。
- 築年数により便器の排水芯のタイプが違う場合があるので要確認。
- 公団住宅は「リフォームOK」物件が増えているので確認するべし。
- ウォシュレット以外のリフォームは、基本、退去時には部屋に置いていくつもりで。
以上の事柄を参考に、賃貸マンションのトイレリフォームは、ご自分の「好み」と「原状復帰」のバランスをよく考えて行ってください。